今月の特別料理は「海老を、これでもかというほど味わっていただこう」と『海老祭』と題し、とことん海老を使った豪華な御膳をご提供させていただきました。

今回ご用意したのは、伊勢海老・オマール海老・車海老・桜海老・黒海老の五種類。なかでも車海老は、活きたままの新鮮なものを入荷できました。


まずご紹介するのは、伊勢海老の雲丹和え。当施設では生食を控えているため、伊勢海老は低温調理で火入れしています。しっとりと仕上げた身は、雲丹の濃厚な旨味と絡み合い、噛むほどに海の香りが立ち上るように調理。職人の長年の技術が光ります。
続いては、初夏にふさわしい爽やかさをもつ一品「車海老の洗い」。新鮮な車海老を丁寧に下処理し、氷水で締めて甘味を引き出しています。大葉は嚥下が難しい方にも安心して召し上がっていただけるよう、ソフト食に加工しまし、見た目の華やかさと食べやすさ、どちらも大切にしする職人の想いが込めれています。

そして、今回最も話題を集めたのが「大海老のフライ」。全長約15センチの特大サイズとなったので、提供直前まで「切って出すべきか…」とスタッフ内でも議論がありましたが、「迫力をそのまま伝えたい」との思いから、丸ごと提供することに。もちろん、食べにくい場合にはすぐにカットできるよう準備を整えていました。

海老の炊き込みご飯は、海老の香りの深さと、コクがでるよう出汁には伊勢海老やオマール海老などのミソを贅沢に使用。
桜海老はサクサクとした食感を楽しんでいただきたく、小麦粉をまぶして軽く揚げ、炊き上がってからご飯の上にのせ混ぜることで、サクサクの食感が失われないよう工夫していました。

この炊き込みご飯は、提供前に皆様に香りも楽しんでいただけるよう、炊きたての土鍋の蓋を目の前で開け、湯気とともに立ちのぼる香ばしい香りをお届けしました。
皆様「わぁ〜、いい匂い」「お腹が鳴っちゃうね」と、食前から自然と笑顔がこぼれます。

お料理が運ばれると、「大きいねぇ!」「これは豪華!」と歓声が上がり、特大エビフライに驚きつつも、そのままかぶりつく方、さまざまな海老料理をじっくり味わう方と、皆様思い思いに楽しまれていました。
この日、ちょうどご入居されたばかりの方にも感想をうかがい「ここ数年、妻の介護をしながら、自分で簡単な昼食ばかり作っていたので、こんなにたくさん出された時は、正直食べきれるか不安でした。でもね、どれも本当に美味しくて。気づいたら全部食べてました。こんなにしっかりお昼ご飯を食べたの、久しぶりで…感動しましたよ」と、目を細めながらお話しくださいました。
“ただ食べる”だけでなく、“記憶に残る”時間を。それが、当施設調理スタッフが毎月の特別料理に込めている願いです。
6月も、つばさの杜ならではの「季節を味わう特別食」をご用意します。どうぞ、お楽しみに。