7月の特別食は、七夕に因んだ豪華な七品。その名も「七夕よくばり御膳」です。
さっそくその全貌をご紹介…の前に、まずは皆さまにお配りした当日のメニュー表からご覧ください。

その名のとおり、味も見た目もまさによくばり!
今回も、厨房スタッフたちの“こだわり”が光る一皿一皿が並びます。

まず注目すべきは太刀魚。
実はこの太刀魚…なんと厨房の宮沢料理人が、この日のために自ら釣ってきたものなんです!

釣りたての太刀魚は、特別食当日に香ばしく炙られながら、さっぱりとしたポン酢ジュレとともに仕上げました。
お皿の上では涼やかな夏の香りとともに、ぴちぴちの鮮度がそのまま活きていました。


細かい骨や薄い身の部分も、一度焼いた上で擦り潰し、すまし汁の団子としてしっかり活用。
「一匹まるごと」丁寧に、余すところなく料理へと昇華させていきます。
こうした一手間が、職人の心意気ですね。

続いては鮑(あわび)。
こちらは大根と一緒にゆっくり蒸し上げていきます。
大根に含まれる「アミラーゼ」という酵素が、蒸している間にじっくり働き、鮑の持つでんぷんやグリコーゲンをやわらかく分解。
口に入れた瞬間、ふっくらやわらかく磯の旨味がじんわり広がります。
噛む力が弱くなった方にも安心して召し上がっていただけるよう、隠し包丁入れたり工夫が凝らされています。

鱈場蟹(たらばがに)は贅沢に天ぷらに。
衣をまとった身が、油に静かに落とされると…ぷくぷくと泡が立ち、ふわりと立ち上る香り。
揚げ上がった蟹は、かじった瞬間に甘みと旨味がじゅわっと広がります。

添えられた甘長とうがらしは、彩りと食感のアクセント。辛みはなく、天ぷら全体にやさしい風味を添えてくれます。

そして今回、ひときわ盛り上がりを見せたのが「炊き込みご飯」。
とうもろこし、弾き豆、穴子をふんだんに使い、土鍋でじっくりふっくら炊き上げました。

炊きあがった瞬間、ふわ〜っとホール中に広がる香ばしい香り。
ここで厨房スタッフが土鍋を手に、各テーブルをぐるりと回ると「わぁ〜!」「いい香り〜!」とあちこちから歓声が。

中には思わずガッツポーズをする方も!

香りひとつで、こんなにも笑顔があふれるなんて、私たちにとっても忘れられない瞬間となりました。

締めの甘味は、「天の川」をイメージした涼やかな一皿。

星型にくり抜かれたぶどう&野菜ジュースのゼリーが、寒天で描かれた流れ星の軌道を彩ります。

そこに黒蜜のまろやかな甘さが加わって、見た目にも味わいにも七夕の夜空を感じられるデザートとなりました。

どのお料理にも共通しているのは、「おいしい」のひと言を通して、日々に彩りを添えたいという料理人たちの思いです。

単調になりがちな日々のなかでも、季節を感じたり、懐かしい味の記憶を思い出したり、食を通じて心がふっとやわらぐ時間をお届けできるよう、心を込めて仕上げています。

そんな願いが詰まった「七夕よくばり御膳」の全貌がこちらです。

来月の特別料理も、どんな一皿が登場するかどうぞ楽しみにお待ちください。