今月の特別料理は、旬の食材に南フランスの家庭料理のエッセンスを添えたメニューです。

まずメインとなる「田舎風牛肉の煮込み」は、プロヴァンスで“ドーブ”と呼ばれる伝統的な一皿をベースしております。煮込む肉はA4ランクの牛スネ肉を使用。

コラーゲンたっぷりのA4ランクの牛スネ肉は、煮込んでもくずれにくく、ぷるんとした食感としっかりとした旨みが特徴で、赤ワイン、トマト、プルーン、水、そして香りづけにオレンジの皮を加えて、じっくり丁寧に煮込むことで、奥行きのあるまろやかな味わいに仕上がっています。


実際に召し上がったご入居者様からは、「お肉のソースの後味にオレンジの味が残り、お肉を食べているのにさっぱりしてとても美味しい」とのお声もいただきました。
続いて「空豆の軽い煮込みと帆立貝」では、帆立貝の表面を軽くソテーして、芯の部分には火を通しすぎないように丁寧に仕上げています。
そのあと、そら豆と一緒に、にんにくのピューレや牛乳、帆立貝を焼いたときに出る汁などをを合わせたまろやかなソースで軽く煮込んでいきます。


こうすることで、帆立は中までしっかり火が通りつつも、ほんのりレアなやわらかさが残る絶妙な食感に。そら豆も火加減に気を配り、やさしい甘みと風味をそのまま楽しめる仕上がりになっています。
赤パプリカのムースには、完熟トマトをミキサーにかけて一晩かけて丁寧にろ過した、透明なソースをそっとかけています。
見た目ではほとんどわからないのですが、ひと口食べるとトマトの風味がふわっと広がる小さなしかけを忍ばせました。
ご入居者様からは「見た目には分からないけど、ちゃんとトマトの味がする!」と驚かれていました。

スープは、ポロネギの甘みを活かした冷たいポタージュです。
ふだんは長ネギを使うことが多いのですが、今回はポロネギが手頃に入ったので特別に使用しました。ポロネギは火を通すことで甘みが増し、じゃがいもとの相性も抜群。家庭ではなかなか味わえない、ホテルのような上品な味わいに仕上がりました。
デザートには、アーモンドをじっくり煮出して香りを移したミルクでつくったブランマンジェを。
甘さをひかえめにして、あと口にふんわりとアーモンドの香りが残る、やさしい味わいになっています。

こうして、ひとつひとつの食材に丁寧に向き合い、手間ひまを惜しまず、シェフが心を込めて仕上げた今回の特別料理。
その全体像が、こちらです。

日々のお食事が、少しでも楽しく、季節を感じられるひとときになりますように。
今回も、シェフが一品一品に心を込めて丁寧に仕上げていました。
調理の様子をそばで見ていると、皆さまの「おいしいね」の笑顔を思い浮かべながら作られていることが、ひしひしと伝わってきました。
来月の特別料理もどんな一皿が登場するかどうぞ楽しみにお待ちください。